2013年03月26日
ハチワンダイバー28巻解説(1)
みなさんこんばんは(・∀・)
将棋漫画『ハチワンダイバー』が発売されるとアクセス数が2倍になるテニスブログですよ。
私自身アマチュア低段の棋力しかありませんが、わざわざ検索して来てくれた方のためにも
ハチワンダイバー28巻を初心者向けに解説していきます。
さてこの巻で決着した将棋は2局ありますが、まずは鬼将会トーナメント2回戦
「かなしいいろやねん」vs「神」の一局です。
「かなしいいろやねん」の先手ゴキゲン中飛車に対して、「神」は向飛車。
お互いに初期配置の場所から飛車を動かして戦う戦型を「相振り飛車」といいますが、
比較的プロ同士の実戦例が少ないことから、定跡が整備されていないため
対局者の経験やセンスの勝負になりやすいと言えます。
局面はあっという間に駒組みを終え、▲4五銀。「かなしいいろやねん」先攻です。
手順は推測ですが、
△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩打△2四飛▲5四歩△同歩▲3三角成△同桂▲5四飛
と進んで上図。
飛車、角といった「大駒」が軽快に動いたり、相手の駒と交換して局面をすっきりさせることを
「捌く(さばく)」といいますが、ここでは「かなしいいろやねん」の大駒がきれいに捌けました。
しかしこれは神の予想通りだったようで・・・
△5四同飛▲同銀△3六歩▲同歩に△8四飛打。
一度△3六歩と突き捨てることによって、玉の斜め上が空いて角による両取りをかけやすくなり、
さらに3七の地点に傷を作っています。タイミングも絶妙で、これが遅れると手抜きされてしまいます。
軽く形を乱した後で△8四飛打。
飛車という駒は攻めに強いので、つい敵陣に打ち込みたくなりますが、この場合△8八飛打では
▲7九金と守られて、せっかく打った飛車を逃げなくてはなりません。
ここでは銀取りと8七飛成を狙う△8四飛打が、落ち着いた好手といえるでしょう。
▲2一飛打△3一歩打▲1一飛成△5四飛▲5九香。
銀というエサに食いついた飛車を狙い打ちます。作中で言っている通り
△5六歩打と受ければ▲2三角打で先手優勢になりますが・・・
△4五桂▲4六歩△5七桂不成▲3九金△6九桂成▲5四香。
神の指し手は△4五桂でした。▲5四香とおいしく飛車を頂くと、△5五角打で王手龍取りです。
しかし「かなしいいろやねん」、▲4六歩から上手く差し回して飛車を奪い互角の戦い。
駒の損得も飛車・香と金・銀の交換で、これも互角といえるでしょう。
△6八成桂▲5三歩打△5一歩打▲2三角打△3二金▲同角成△同歩▲5二金。
この勝負所で相手に手を渡す△6八成桂。羽生二冠の勝負術「手渡し」のようで、
作中でも言われている通り「格調高すぎ」の一手です。
手を渡された「かなしいいろやねん」、▲2三角から▲5二金。無理やり駒をはがしてゴリゴリ攻めます。
「寄せは俗手に好手あり」という格言があるように、終盤ではこういう分かりやすい攻めが
かえって受けにくいものです。
△5八成桂▲6一金△同銀▲5二歩成△5七角打▲4七金打。
ゴリゴリ攻めておいて、一転して受けに回ります。この駆け引きは見事というしかなく、
「かなしいいろやねん」に指示を出している浦野七段が「どや?」と言うのも頷けます。が・・・
△3九角成▲同玉△7二金打。
こちらも一転して受けに回ります。これで神の玉は、絶対に詰まない形「Z(ゼット)」になりました。
▲6一と△5七角▲同金△4八金打▲2八玉△3八金▲同玉△5七成桂▲1六歩△1七銀打まで。
▲6一とはもはや気持ちを整理する「形作り」という手で、綺麗に必至がかかり終局です。
最後の△1七銀打は、桂香どちらで取っても△4七金▲2八玉△3九銀▲1八玉△2八金まで。
▲3七玉と逃げるのも△4七金までです。
本局は相振り飛車から捌き合いになり、一進一退の見応えある中盤戦を展開、
終盤は互いに緩急をつけたハイレベルな応酬になりましたが、
神の△7二金打が受けの決め手で、ようやく決着を見ました。
作中でも絶対に詰まない形「Z(ゼット)」という言葉が出てきましたが、私が将棋を指していた
20年前には、このような言葉は聞きませんでした。
ご存知の通り、将棋は相手の王様を詰めると勝ちのゲームですが
絶対に詰まない「Z」と、次に相手を必ず詰ませる「必至」の組み合わせでも勝利が確定します。
ひたすら王様を追いかけるのではなく、しっかり守って確実に攻めるのが、初心者を卒業するコツです。
・・・。
今回は何やら長くなったので、無理矢理テニスにこじつける気力を失いました。おやすも(・∀・;)
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私自身アマチュア低段の棋力しかありませんが、わざわざ検索して来てくれた方のためにも
ハチワンダイバー28巻を初心者向けに解説していきます。
さてこの巻で決着した将棋は2局ありますが、まずは鬼将会トーナメント2回戦
「かなしいいろやねん」vs「神」の一局です。
「かなしいいろやねん」の先手ゴキゲン中飛車に対して、「神」は向飛車。
お互いに初期配置の場所から飛車を動かして戦う戦型を「相振り飛車」といいますが、
比較的プロ同士の実戦例が少ないことから、定跡が整備されていないため
対局者の経験やセンスの勝負になりやすいと言えます。
局面はあっという間に駒組みを終え、▲4五銀。「かなしいいろやねん」先攻です。
手順は推測ですが、
△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩打△2四飛▲5四歩△同歩▲3三角成△同桂▲5四飛
と進んで上図。
飛車、角といった「大駒」が軽快に動いたり、相手の駒と交換して局面をすっきりさせることを
「捌く(さばく)」といいますが、ここでは「かなしいいろやねん」の大駒がきれいに捌けました。
しかしこれは神の予想通りだったようで・・・
△5四同飛▲同銀△3六歩▲同歩に△8四飛打。
一度△3六歩と突き捨てることによって、玉の斜め上が空いて角による両取りをかけやすくなり、
さらに3七の地点に傷を作っています。タイミングも絶妙で、これが遅れると手抜きされてしまいます。
軽く形を乱した後で△8四飛打。
飛車という駒は攻めに強いので、つい敵陣に打ち込みたくなりますが、この場合△8八飛打では
▲7九金と守られて、せっかく打った飛車を逃げなくてはなりません。
ここでは銀取りと8七飛成を狙う△8四飛打が、落ち着いた好手といえるでしょう。
▲2一飛打△3一歩打▲1一飛成△5四飛▲5九香。
銀というエサに食いついた飛車を狙い打ちます。作中で言っている通り
△5六歩打と受ければ▲2三角打で先手優勢になりますが・・・
△4五桂▲4六歩△5七桂不成▲3九金△6九桂成▲5四香。
神の指し手は△4五桂でした。▲5四香とおいしく飛車を頂くと、△5五角打で王手龍取りです。
しかし「かなしいいろやねん」、▲4六歩から上手く差し回して飛車を奪い互角の戦い。
駒の損得も飛車・香と金・銀の交換で、これも互角といえるでしょう。
△6八成桂▲5三歩打△5一歩打▲2三角打△3二金▲同角成△同歩▲5二金。
この勝負所で相手に手を渡す△6八成桂。羽生二冠の勝負術「手渡し」のようで、
作中でも言われている通り「格調高すぎ」の一手です。
手を渡された「かなしいいろやねん」、▲2三角から▲5二金。無理やり駒をはがしてゴリゴリ攻めます。
「寄せは俗手に好手あり」という格言があるように、終盤ではこういう分かりやすい攻めが
かえって受けにくいものです。
△5八成桂▲6一金△同銀▲5二歩成△5七角打▲4七金打。
ゴリゴリ攻めておいて、一転して受けに回ります。この駆け引きは見事というしかなく、
「かなしいいろやねん」に指示を出している浦野七段が「どや?」と言うのも頷けます。が・・・
△3九角成▲同玉△7二金打。
こちらも一転して受けに回ります。これで神の玉は、絶対に詰まない形「Z(ゼット)」になりました。
▲6一と△5七角▲同金△4八金打▲2八玉△3八金▲同玉△5七成桂▲1六歩△1七銀打まで。
▲6一とはもはや気持ちを整理する「形作り」という手で、綺麗に必至がかかり終局です。
最後の△1七銀打は、桂香どちらで取っても△4七金▲2八玉△3九銀▲1八玉△2八金まで。
▲3七玉と逃げるのも△4七金までです。
本局は相振り飛車から捌き合いになり、一進一退の見応えある中盤戦を展開、
終盤は互いに緩急をつけたハイレベルな応酬になりましたが、
神の△7二金打が受けの決め手で、ようやく決着を見ました。
作中でも絶対に詰まない形「Z(ゼット)」という言葉が出てきましたが、私が将棋を指していた
20年前には、このような言葉は聞きませんでした。
ご存知の通り、将棋は相手の王様を詰めると勝ちのゲームですが
絶対に詰まない「Z」と、次に相手を必ず詰ませる「必至」の組み合わせでも勝利が確定します。
ひたすら王様を追いかけるのではなく、しっかり守って確実に攻めるのが、初心者を卒業するコツです。
・・・。
今回は何やら長くなったので、無理矢理テニスにこじつける気力を失いました。おやすも(・∀・;)
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