2012年12月26日
ハチワンダイバー27巻解説
当方テニスブログですが、ヒマなので「ハチワンダイバー」等で検索して来てくれる方もいるようなので
ハチワンダイバー27巻を初心者向けに解説していきます。
さてこの巻で決着したのは、鬼将会トーナメント2回戦
右角vs菅田の一局です。
実は作中で二人が対局するのはまだ2回目なのですが、お互い手の内を知り尽くした上に
シミュレーションを繰り返しているので、もうこの二人の対局といえばこの戦型しか考えられません。
右角の右四間飛車に対して、菅田のハチワンシステム居飛車バージョン(雁木)。
お互い通い慣れた道なので、駒組みはほぼノータイム。満を持して▲4五歩でいよいよ開戦です。
推測手順ですが、△4五同歩▲1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4五桂△4四銀▲3三歩打
△同桂▲同桂成△同銀▲4五桂△4四歩打 と進んで上図。
右角は4筋だけでなく1筋と3筋の歩も突き捨てましたが、これは相手の陣形を乱したり
あとで歩を補充するための常套手段で、後でこれが活きてきます。
菅田は銀桂交換の駒損を覚悟で△4四歩打。4筋さえしっかり受け止めれば、右角は歩切れという
こともあり、これ以上攻めが続かないと見ています。
以下▲3三桂成△同金右▲1五香△同香▲4五歩。
ここで先ほど1筋の歩を突き捨てた効果が出てきました。香車を捨てて無理やり歩を手に入れ、
再度の▲4五歩。
これを普通に△同歩▲同銀△4四歩打などと受けていては、▲3四歩打からバラバラに
されてしまいそうです。そよちゃんが言うように「正確に受け続ければ受けきれる」
かもしれませんが、私には自信ありません(・∀・;)
そこで菅田、いきなり反撃の△8六桂打。
この「歩頭桂」自体は囲い崩しの常套手ではありますが、自陣に亀裂が入ろうとしている
局面だけに、度胸が必要です。
しかし受け続けても潰されそうで、右角も歩切れで受けが難しいことを考えると
このタイミングでの攻め合いしかなかった、とも言えそうです。
▲4四歩△同銀▲4五歩打△7八桂成▲同金△8六桂打と進んで上図。
▲4四歩に一度△同銀と応じることによって、一手だけ右角の攻めを遅らせることができました。
そして再度の歩頭桂。もはや足を止めての殴り合いです。
▲4四歩△7八桂成▲同玉△8六香打▲3四桂打。
菅田の香車零距離射撃に対して、右角はタダ捨ての桂打ち。
ゴリゴリお互いの骨を削り合うような痛い手の応酬です。
△8七香成▲同玉△3四金▲4三歩成。
とうとう右角の右四間飛車は菅田の雁木を打ち抜き、4筋を突破しました。
菅田陣は金1枚だけになり、と金に頭を押さえられて、もはや長くありません。
しかしこの瞬間だけ、眠っていた菅田陣の長距離砲が砲門を開いていました。
△8六歩▲7八玉△8七歩成▲6九玉△7八と▲同玉△7七角成。
眠っていた菅田陣の角が、最後の最後に直撃です。
右角の▲3四桂~▲4三歩成という攻めが、いつの間にか相手の角道を開いていたという
皮肉な結末でした。
以下▲7七同玉△8六角打▲8八玉△8七銀打▲同玉△6八角成まで菅田の勝ち。
最後は「空き王手」という華麗な技で終局です。
本局はお互いの得意戦法から右角が先攻、受け切れないと見た菅田の反撃から
意地の張り合いのような激しい攻め合いとなり、最後は右角の攻めが成功したかに見えた瞬間、
菅田が長距離砲で仕留めたという将棋でした。
このような激しい攻め合い、意地の張り合いは、我々アマチュアが見ていて楽しい将棋ですから
TV中継などでこんな将棋をやっていたら、「おおっ!?」とか叫んでしまいそうです。
敗れはしましたが、アマチュアの代表戦法とも言うべき右四間飛車を愛用する右角の面目躍如
というところでしょう。
さて、作中で菅田は攻め合うばかりでなく、あえて一度受けに回ることで相手の攻めを遅らせる
テクニックを使いました。
これを将棋用語で「手を戻す」と言い、単純に打ち合うだけでは負けてしまう場合に有効です。
テニスで言う「チェンジオブペース」というやつですね。
ストロークを思い切り打ち合って勝てる相手ならいいのですが、それが通用しない相手なら
中ロブやスライスなどを混ぜて、タイミングをずらしたり無理攻めを誘ったりするのです。
などと言い残して、今日も無理矢理テニスブログにするのでした(・∀・)
ハチワンダイバー27巻を初心者向けに解説していきます。
さてこの巻で決着したのは、鬼将会トーナメント2回戦
右角vs菅田の一局です。
実は作中で二人が対局するのはまだ2回目なのですが、お互い手の内を知り尽くした上に
シミュレーションを繰り返しているので、もうこの二人の対局といえばこの戦型しか考えられません。
右角の右四間飛車に対して、菅田のハチワンシステム居飛車バージョン(雁木)。
お互い通い慣れた道なので、駒組みはほぼノータイム。満を持して▲4五歩でいよいよ開戦です。
推測手順ですが、△4五同歩▲1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4五桂△4四銀▲3三歩打
△同桂▲同桂成△同銀▲4五桂△4四歩打 と進んで上図。
右角は4筋だけでなく1筋と3筋の歩も突き捨てましたが、これは相手の陣形を乱したり
あとで歩を補充するための常套手段で、後でこれが活きてきます。
菅田は銀桂交換の駒損を覚悟で△4四歩打。4筋さえしっかり受け止めれば、右角は歩切れという
こともあり、これ以上攻めが続かないと見ています。
以下▲3三桂成△同金右▲1五香△同香▲4五歩。
ここで先ほど1筋の歩を突き捨てた効果が出てきました。香車を捨てて無理やり歩を手に入れ、
再度の▲4五歩。
これを普通に△同歩▲同銀△4四歩打などと受けていては、▲3四歩打からバラバラに
されてしまいそうです。そよちゃんが言うように「正確に受け続ければ受けきれる」
かもしれませんが、私には自信ありません(・∀・;)
そこで菅田、いきなり反撃の△8六桂打。
この「歩頭桂」自体は囲い崩しの常套手ではありますが、自陣に亀裂が入ろうとしている
局面だけに、度胸が必要です。
しかし受け続けても潰されそうで、右角も歩切れで受けが難しいことを考えると
このタイミングでの攻め合いしかなかった、とも言えそうです。
▲4四歩△同銀▲4五歩打△7八桂成▲同金△8六桂打と進んで上図。
▲4四歩に一度△同銀と応じることによって、一手だけ右角の攻めを遅らせることができました。
そして再度の歩頭桂。もはや足を止めての殴り合いです。
▲4四歩△7八桂成▲同玉△8六香打▲3四桂打。
菅田の香車零距離射撃に対して、右角はタダ捨ての桂打ち。
ゴリゴリお互いの骨を削り合うような痛い手の応酬です。
△8七香成▲同玉△3四金▲4三歩成。
とうとう右角の右四間飛車は菅田の雁木を打ち抜き、4筋を突破しました。
菅田陣は金1枚だけになり、と金に頭を押さえられて、もはや長くありません。
しかしこの瞬間だけ、眠っていた菅田陣の長距離砲が砲門を開いていました。
△8六歩▲7八玉△8七歩成▲6九玉△7八と▲同玉△7七角成。
眠っていた菅田陣の角が、最後の最後に直撃です。
右角の▲3四桂~▲4三歩成という攻めが、いつの間にか相手の角道を開いていたという
皮肉な結末でした。
以下▲7七同玉△8六角打▲8八玉△8七銀打▲同玉△6八角成まで菅田の勝ち。
最後は「空き王手」という華麗な技で終局です。
本局はお互いの得意戦法から右角が先攻、受け切れないと見た菅田の反撃から
意地の張り合いのような激しい攻め合いとなり、最後は右角の攻めが成功したかに見えた瞬間、
菅田が長距離砲で仕留めたという将棋でした。
このような激しい攻め合い、意地の張り合いは、我々アマチュアが見ていて楽しい将棋ですから
TV中継などでこんな将棋をやっていたら、「おおっ!?」とか叫んでしまいそうです。
敗れはしましたが、アマチュアの代表戦法とも言うべき右四間飛車を愛用する右角の面目躍如
というところでしょう。
さて、作中で菅田は攻め合うばかりでなく、あえて一度受けに回ることで相手の攻めを遅らせる
テクニックを使いました。
これを将棋用語で「手を戻す」と言い、単純に打ち合うだけでは負けてしまう場合に有効です。
テニスで言う「チェンジオブペース」というやつですね。
ストロークを思い切り打ち合って勝てる相手ならいいのですが、それが通用しない相手なら
中ロブやスライスなどを混ぜて、タイミングをずらしたり無理攻めを誘ったりするのです。
などと言い残して、今日も無理矢理テニスブログにするのでした(・∀・)